平成30年3月10日(土)に開催されたセミナーの様子を紹介します


 講義
「ナノ科学について」 竹井 敏 教授
【大きさの実態概念】
一、十、百・・・億、兆、京・・・那由他、不可思議、無量大数(10の68乗)
小さい方へは、
分、厘、毛・・・・沙、塵(-9乗)・・・阿頼耶、阿摩羅、涅槃寂静(-24乗)
今回挑戦するのは、髪の毛の100分の1サイズ。下図参照

【半導体について】
半導体は、我々の生活を支えている多くの電化製品、交通や通信などの社会インフラには欠かせない存在です。世界中でモバイルデバイスが使用されていますが、その需要はますます高まることが予測されています。
【なぜナノ加工技術が必要なの?】
半導体の高性能化によって、処理速度の向上(システムの効率化)、作動電圧の低減(省エネ化)、チップサイズの縮小(小型化)が促されます。そのためには、半導体の線密度を高める必要があり、それを実現するためにはより高度な微細加工技術が必要不可欠なのです。
【技術の進歩がもたらすもの】
豊で安全快適な生活の実現だけでなく、環境への負担軽減にも良い影響をもたらすと考えられます。技術の進歩は、我々に豊かな将来を与えてくれるのです。


 「とことんセミナー」
2グループに分かれてフリートークをしました。大学での学習や、学科選択、研究のテーマ選びの決め手など、自分が将来について抱えていた不安そのものを解消できるようないいアドバイスをいただきました。


 実習「ナノ加工にチャレンジ!!」
スタッフの方から実験の手順をきいて、各自がナノ加工に取り組みます。使用する機器や薬剤は高価なものばかりです。高校では経験できないような貴重な機会に恵まれました。仮校舎ですが、まだ使われていないきれいな実験室での実習でした。
ナノ加工に塵や埃は厳禁です。今回は簡易的なものですが、白衣、マスク、ヘアキャップで身を固めています。作業は卓上の簡易的なクリーンルーム内で行いました。

【今回体験したナノ加工の手順】

(1)ナノパターンが転写される側の透明板をセットします。

(2)板の上に専用インクを1滴。これがかなり高価。紫外線に反応して固まるインクです。

(3)ガイドに合わせて、シリコン製の金型をセット。これも1枚あたり数十万円。手が震えます。

(4)金型の上から10~15分間紫外線を照射します。

(5)照射後の状態です。金型のナノパターンがうまく転写されているでしょうか。

(6)少し力が必要ですが金型を板から外します。金型を飛ばして壊さないように、慎重に・・。

(7)透明板上のうっすら四角い模様が見えるでしょうか。※画像は見えやすくするために加工してあります。

(8)自分たちでつくったパターンを顕微鏡で観察しています。

(9)(見えにくいですが)ナノサイズの穴が、きれいに並んでいるのが見えました。


 まとめ 閉講式   
竹井先生、アシスタントスタッフの方々から参加生徒に、本日の感想やアドバイスをいただきました。